特殊造形

立体造形とは大きさや形、再現するものにとらわれず立体的に特殊な素材を使用して表現するものである。業界では特殊造形とも呼ばれるが、等身大フィギュアもこのカテゴリーに分類される。

一般的には店舗装飾やディスプレイ・サイン、テーマパーク等で使用される造形物、家具や雑貨など様々な所で使用されているが弊社ではリアリティーを追求し、更に高度な技術やデザインを施した立体リアル造形として制作を行っています。

粘土で原型彫刻する場合もあるが、主な材質としては発泡スチロールやFRP(強化プラスティック)を原型材料として使用し、塗装等は雨や紫外線にも強いウレタン塗装(車両の塗装と同じ物)を使用する。特殊メイクの素材と違って強度があり、長期間に渡ってのディスプレイや設置をする事が可能である。また着ぐるみ等のコスチューム制作や小道具などのプロップ制作も立体造形に含まれる。

プロップ制作の流れ

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発泡ボードの切り出し

まずは平清盛で同時に制作をした剣の制作方法を紹介します。 発泡ボードを必要な長さにカットし加工して行きます。通常、小さな造形物でもこのような直線が多い造形物の場合は、土台として発泡スチロールやウレタン素材などが使用されます。

蛇のうろこ模様

今回制作する剣にはうろこ模様が全体に施されており、一つずつ粘土で制作するのは大変でバランスも崩れてしまうので、まず削り出した発泡ボードに蛇革を貼付けていきます。

細部の原型彫刻

その他、金具部分や装飾が各所に施されているので、プラ板などをにシルエットをトレースしバランスを見ながら模刻していきます。とても細かい作業ですので集中力が必要です。

柄の原型彫刻

取っ手部分の原型は全てにおいて形と模様が違うので、一から原型彫刻を施していきます。 写真を原寸大に印刷しサイズを測りながら形を割り出していきます。こちらも細かい作業が続きます。

型取り

原型制作が修了すると、型取りの作業を行います。細かい粘土の表現まできれいに再現が出来る様に原型を半分ずつシリコン素材を塗り付けて型取りしていきます。

FRP塗布

型取り後はきれいに粘土を掃除し、出来上がった型の中にFRP(強化プラスティック)と言う素材を塗り付けていきます。写真では黒いインクを混ぜていますので元々は透明の素材ですが、良く車のバンパー等に使用される素材になります。ガラス繊維が入っていますのでとても強度は強いです。

ペインティング

FRP成形が終わると気泡や段差が無いか確認し、表面をサンドペーパーやバフと言う物で表面に傷をつけていきます。これは塗料とFRP自体をしっかりと接着させ剥がれないようにする大事な作業になります。その後プライマー処理を施し、メタリックペイントやエイジングをかけていけば完成です。

大道具(セット)制作の流れ

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発泡ボードの切り出し

はじめに、大きな作業を大きな倉庫で制作するのは普通ですが、直径・高さ共に3メートルの造形物をたった6帖程の小さな部屋で制作するのは非常に難しく不可能に近いです。 ただ今回は予算やスケジュールも含むその当時の条件で制作した一例を紹介致します。まずは緻密な計算を元にサイズの算出を行い発泡ボードを切り出していきます。

組立と接着

切り出された300個にもなるブロックを設計通りに組み立て、一つずつ接着していきます。少しでもズレると最終組み上げた時に歪んでしまい、きれいな円柱タワーにならないので慎重に制作します。 1/4が組み上がった所で作業場から持ち運び出せる様にカットしていきます。

目地の接着

ブロックを積み上げるとどうしても隙間が出て来ます。その隙間を建築用の発泡ウレタン材料で埋めていき、同時に隣接するブロックも接着していきます。

表面のディティール

全てのパーツが揃った所で表面全体をハンダなどの道具で溶かしていき、損傷した部分や石の様な質感を出していきます。有毒ガスが出てしまうので、防毒マスクをしながら安全に作業します。

ペインティング

内装などで使用される建築塗料を使用し、表面全体にペイントを施します。同時にくぼみや突起している部分には色の違うローライトとハイライトを入れ同時にエイジング加工も施します。

現場設置

納品当日に各パーツを組み立て接着を行っていきます。組み上げるだけでは強度が足りないので、内部には鉄芯を組み立て、ライティングやその他の装飾をして完成です。

立体造形作品集